機械式時計
ぜんまいを動力源として伝達輪列を通じて針を動かします。ぜんまいが解ける速さは、ひげぜんまいを備えたてんぷによって調整されます。このような機構を備えた時計を機械式時計といいます。
電気制御を一切用いず、機械のみによって時刻を表示する機能を実現している点が特徴です。中世のクロックに端を発し、近世の懐中時計を経てウオッチへと進化を続けながら現代に至っています。そして機械式時計は今なお進化を続けています。
機械式時計はキーやりゅうずを介して 動力ぜんまいを巻き上げます。これを手巻き機構と呼びます。また、ウオッチには腕の動きによって動力ぜんまいを巻き上げるものもあります。これを自動巻き機構と呼びます。動力ぜんまいを完全に巻き上げてから時計が動かなくなるまでの時間を持続時間といいます。
てんぷ及びてんぷと伝達輪列を接続するアンクル・がんぎ車はそれぞれ調速機、脱進機と呼ばれ、機械式時計を最も特徴づける箇所になり、実に多種多様な機構が生み出され続けています。ここでは腕時計で広く使われているクラブツースレバー脱進機を簡単に紹介します。
- がんぎ車には伝達輪列を介して動力ぜんまいのトルクがかかっていますが、アンクルによってブレーキがかかっているため、回転できません。
- アンクルは回転してきたてんぷの振り石が当たって回転し、がんぎ車へのブレーキが解除されます。
この時、伝達輪列は動力ぜんまいのトルクによって回転します。 - 次の瞬間、がんぎ車はアンクルを押し始めます。続いてアンクルが、2とは逆に、てんぷの振り石を押し、てんぷに回転エネルギーを供給します。
- アンクルは規定量の回転後に止められ、それに伴いがんぎ車の回転にブレーキがかかり、伝達輪列の回転が止まります。
このアンクルが止められる時の衝撃音が機械式時計のチクタク音になります。 - てんぷは回転を続けますが、ひげぜんまいによってある時点で逆方向の回転に移ります。そして1~4を繰り返します。
1秒間あたり、もしくは、1時間あたりにアンクルとてんぷが当たる回数を振動数といいます。また、てんぷが回転している角度を振り角といいます。
てんぷが回転する速さはてん輪とひげぜんまいのマッチングによって決まり、この調整によって時計の精度がおおよそ決まります。機械式時計の精度としては、一般的には1日数秒~数十秒の進みもしくは遅れとなります。