ぜんまい駆動式電子調速時計
ぜんまいを動力源として、ぜんまいで針を動かすと同時に発電機により水晶振動子を駆動、自らの回転を調速する時計をぜんまい駆動式電子調速時計といいます。(ぜんまい駆動式電子調速時計の定義)
この時計は、調速系以外の部分が機械式時計と同じ構造であり、クオーツウオッチが開発され機械式時計と水晶式時計が並存した1970年代に機械式時計の高精度化の1方式として考え出されました。
開発当初はぜんまいエネルギーに対して回路部の消費電力が大きく、自動巻発電ウオッチ以上にエネルギー収支が成立していませんでした。
その後、回路部の省電力化と発電機部の高効率化などの技術開発により実用化されました。ぜんまい駆動式電子調速時計の機構は以下の通りです。
- ぜんまいが解けるトルクで、伝達輪列(歯車)を回します
- 伝達輪列の最後の車に発電用の磁石(ローター)が取り付けてあり、ローターが回転することでコイルに磁束の変化が生じ、電磁誘導の原理で発電します
- 発電による電気でIC及び水晶振動子を駆動させ、水晶振動子が高精度の時間基準を作ります
- 高精度の時間基準を基に、ローターの回転速度を検出し、ローターの回転速度をブレーキ量の調整により制御します
- ローターが一定回転で調速されると、ローターと伝達している輪列、その輪列に取付けられた指針も運針します
- 以上のように電池を使用せず、ぜんまいを動力源にして水晶式時計の精度で運針する時計です。
(注): 本内容は、日本時計協会会員及びその製品に適用されている事項です。
時計には、ウオッチ(どんな姿勢でも作動し、かつ携帯することを目的とした時計)と
クロック(一定の姿勢で使用する時計)があります。